むしむしと暑い夏。
昔の人が風鈴の音で涼をとっていたように、涼やかな音色は気分を爽やかにさせてくれますよね。
こんな時は優雅なピアノの音色もオススメです。
この記事では、暑い夏の日にぴったりのピアノの曲おすすめ6選をご紹介します♪
夏にぴったりのクラシックピアノ曲 8選
リスト: エステ荘の噴水
フランツ・リストのピアノ独奏曲集『巡礼の年』 第3年より「エステ荘の噴水」。
噴水が壮麗に吹き上がる様子や、水のきらきらとした躍動感を、高音のアルペジオやトレモロで表現しています。
上の音源はキラキラと澄んだ音が定評の辻井伸行さん。この曲の雰囲気とピッタリで、聴いていると心が洗われるような気がします。
ラヴェル:水の戯れ
ピアニストであり文筆家でもある青柳いづみこさんの言葉を借りると、リストの「エステ荘の噴水」が”大量の水や大噴水”なのに対して、ラヴェルの「水の戯れ」は“単数”の水。
水が揺れ動き、流れていく様子を神秘的な和音で表現しています。
上の音源はフランス近代クラシックの名ピアニスト、パスカル・ロジェさんです。
ラヴェルはフランス出身の作曲家です。
そしてパスカル・ロジェさんもフランスの方。
おフランスらしいどこかオシャレな演奏が、まさにラヴェルの曲にぴったりです。
こちらもぜひ聴いてみて!
上の音源は、ヴラド・ペルルミュテール(1904-2002)による演奏。
ラヴェル本人から直接指導を受けたピアニストで、ラヴェル弾きとして知られています。
録音が古いので少し聴きにくいですが、楽譜にも書いていない細かなところまで作曲者本人の指導を受けていると思いますので、ほとんど「正解の演奏」と言えるかもしれません。
ドビュッシー:水の反映
リストの「エステ荘の噴水」やラヴェルの「水の戯れ」が”水そのもの”をイメージして作曲されているのに対し、ドビュッシーの「水の反映」は”水に映るもの”に焦点が当てられています。
水面に映る木々の緑、きらきらと反射する日の光。覗き込む人間の様々な表情・・・
ラヴェルとドビュッシーは、リストの「エステ荘の噴水」に感化を受けて、ラヴェルは1901年に「水の戯れ」を、ドビュッシーは1904-05年に「水の反映」を作曲しています。
なのでまず「エステ荘の噴水」を、そのあと「水の戯れ」「水の反映」を聴くと面白いかもしれませんね。
ドビュッシー:喜びの島
ドビュッシー作曲の「喜びの島」。ヴァトーの絵画「シテール島への船出」にインスピレーションを得て作曲されたといわれています。(シテール島は”愛の女神ヴィーナスの島といわれる)
落ち着いた雰囲気の曲が多いドビュッシー作品の中で、珍しくうきうきと上を向きたくなる曲です。
ピアノ曲ながらまるでオーケストラを聴いているような音色の豊かさがあり、華美でどこかファンタスティックな雰囲気ものぞかせます。
ドビュッシーがこの曲を作曲したのは1903-04年頃。
同じ時期に、ドビュッシーは裕福な銀行家の妻エンマ・バルダック夫人と親密な関係にありました。
ドビュッシーにはすでにリリーという妻がいましたから、不倫関係ということになります。
1904年7月、ついに2人はイギリス南部のジャージー島へかけ落ちを決行…!
つまりは、頭の中がお花畑のドビュッシーが南の島へバカンスへ出かけた中で完成させた曲です。
背景はともあれ、南の島でウキウキに過ごす様子が目に浮かぶようです。
人気のあるドビュッシーのピアノ曲のひとつですが、間違えても結婚式などのおめでたい場では演奏しないように…!
ラヴェル:≪鏡≫ピアノ独奏のための組曲 第3曲『海原の小舟』
ラヴェルの≪鏡≫は、ピアノのための五つの曲からなる組曲で、とくに有名なのは第4番『道化師の朝の歌』です。
のだめカンタービレのヨーロッパ編で のだめが演奏していたので、知っている方も多いと思います。
ここでは”夏っぽいピアノ曲”ということで、第3曲の『海原の小舟』を挙げたいと思います。
曲全体にわたって流れるようなアルペジオが用いられ、波や海の動きを繊細かつ豊かに表現しています。
エリック・サティ:ジムノペディ第1番
ゆったりとしたリズムとシンプルなメロディが、リラックスした夏の午後にぴったりな曲です。
サティは『家具の音楽』という当時にしては画期的な音楽を作曲しています。
家具のように、そこにあることに気づかないほど違和感なく存在している音楽、つまり今でいうBGM用の音楽、という意味です。
当時はまだ録音と再生の技術が発達しておらず、レコードもまだない時代でした。
そこで音楽を聴くには生演奏してもらう必要があり、生演奏を聴くときには、黙って、音楽に集中して聴くのが普通でした。
そんな時代に、「聴かない音楽」を作ったのです。
『ジムノペディ』はサティがまだ若い時に作られた曲ですが、伝統的な音楽形式にとらわれない独自の音楽スタイルの表現として、当時の音楽界に革新的な印象を与えました。
ベートーヴェン:ロンド・ア・カプリッチョ ト長調 作品129
”オシャレなクラシック”っぽいタイトルですが、俗称「失われた小銭への怒り」です。
ベートーヴェン自身がつけたタイトルではなく、第三者がベートーヴェンの自筆譜に「奇想曲の中へぶちまけた、なくした小銭への怒り」と書き込んだことから、こちらの方が有名になっています。
短気で変わり者のベートーヴェンらしいタイトルなので、ここまで浸透したんでしょうね。
スピード感があり、小銭が散らばる映像がスローモーションでよぎりそうな、コミカルで楽しい曲です。
ベートーヴェンのエピソードは、Amazonオーディオブックの「だれなに?クラシック」で聴くことができます。機会があったら、ぜひ聴いてみてください♪
ショパン:プレリュード 1番 ハ長調
全24曲あるショパンのプレリュード(前奏曲)の第1番目の曲です。
ハ長調の曲ながらも内声がいくつにも重なり、ジャズを感じさせるほどにおしゃれな和音の響きがします。
ちなみに上の音源は、小林愛実さんの演奏で、2021年8月にリリースされたアルバムです。
そして2021年10月に開催されたショパンコンクールで、見事に4位入賞。
コンクールの三次予選でもプレリュード全曲を演奏しているのですが、個人的にはCDの演奏より、コンクールの時の演奏が好きです。
同じ人が同じ曲を演奏しても全く同じにはならないところが面白いですね。
是非聴き比べてみてください♪
ショパンコンクール三次予選。11:48~がプレリュードです。
作曲家の背景を知るともっとクラシックが好きになる
何度も聴いたことのある有名な曲でも、その曲に込められた意味とか、作曲された経緯、また作曲家の背景などを知ると、その曲をより身近に感じながら聴くことができます。
といっても、わざわざ調べるのは億劫だったり、情報が多すぎてわかりにくかったり。
ちなみに、私はクラシック初心者なのですが、AmazonオーディオブックのAudibleから出ているだれなに?クラシックシリーズがとってもわかりやすく、ラジオ感覚で楽しく聴くことができましたよ♪
だれなに?クラシックシリーズは、もともと子ども向けということもあり、優しい口調とわかりやすい説明で、
- 有名な作曲家たちがいったいどんな人だったのか
- どのように名曲が生まれたのか
- どんな世の中で暮らしていたのか
などを、時にはユーモアも交えながら紹介してくれます。
バロック時代のヴィヴァルディから始まり、ロマン派時代のラフマニノフまで、総勢26人を取り上げているので、好きな作曲家から聴くのもよし、最初から最後まで順に聴くのもよし。
Audibleが初めての方なら30日間無料で聴けるので、ぜひ試しに聴いてみてください♪
一例です