クラシック音楽の中で圧倒的な人気を誇るショパン。
ショパンの作品は非常に有名なので、知っている方も多いと思います。
では、ショパン自身が、リアルタイムに聴いていた音楽、というとどうでしょうか。
この記事では、ショパンが聴いた、ショパンと同時代の音楽をご紹介します。
ジョン・フィールドのノクターン
ノクターン(夜想曲)というとショパンを思い浮かべる人が多いと思いますが、この音楽ジャンルの創始者はジョン・フィールドです。
ジョン・フィールド(1782-1837)は、ショパン(1810-49)より28歳年上の、アイルランド出身のピアニスト。ベートーヴェン(1770-1827)より、ひとまわり年下です。
ベートーヴェンとほぼ同じ時代、というとすぐに思い浮かぶように、彼らが活躍していた19世紀初頭は、ピアノが著しく発展した時代でした。(ベートーヴェンが発展させた、といっても過言ではありませんが)
ベートーヴェンはピアノの音域が広くなったのを活かして、ダイナミックな曲を多く作曲。それに対してジョン・フィールドは、音をなめらかに持続することができるようになったペダルの機能を活かして、繊細な曲を多く作りました。
ピアノのそうした機能を活かして作曲したのがノクターン(夜想曲)。全部で18曲ほどを残しています。
そしてそのフィールドの作品に影響を受けたショパンは、自身も、かの有名な全21曲からなるノクターンを作曲したのでした。
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ショパンのノクターンと比べると、ちょっと物足りないような…。
でも当時としては、最新のピアノで作った画期的な曲だったんですね!
ショパンが愛したポーランドの民族音楽
ショパンが音楽の道へ突き進むために、祖国ポーランドを旅立ったのは1830年、ショパンが20歳の時。それが祖国との永遠の別れになりました。
しかし、ずっとポーランドを想い続けていたショパン。その想いは、曲にも表れています。
そのひとつが、ポーランドの民族舞踏をもとに作曲されたマズルカ。
生涯にわたって、58曲も作曲しています。
そんな「ショパンのマズルカ」は知っている方も多いと思いますが、「ポーランドの民族音楽」自体は聴きなじみがない方も多いのではないでしょうか。
下の音源は、18世紀ごろに一般的に使われていたポーランドの民族楽器である「スカ」を使ってレコーディングされた、ポーランドの民族音楽です。
(ところどころに、その楽器を使用して演奏されたショパンの作品も入っています。)
ショパンが聴いていたマズルカの音色も、このようなものだったかもしれませんね。
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ショパンのお気に入りの弟子の作品
ショパンにはたくさんの弟子がいました。
そのなかでも特にお気に入りの弟子だったのが、アドルフ・グートマン。
ショパンはスケルツォ第3番を、手の大きなグートマンのために作曲し、献呈しています。
スケルツォ3番は、手の小さなショパンには届かない10度の和音などが使われています。初演を行ったのもグートマンです!
そんなショパンに愛された弟子アドルフ・グートマンは、ピアニストとしてだけでなく、作曲家としても活動していました。
下の音源は、アドルフ・グートマンのピアノ独奏や連弾のための作品集。1848/1849年製の歴史的なエラール製フォルテピアノで演奏されています。
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まとめ
クラシックの作曲家はほとんどの場合、ピアノの曲だけでなく、交響曲や弦楽四重奏など、様々な楽器を使用した曲を書いている中で、ショパンが書いたのはピアノの曲のみ。
ピアノ独奏曲以外にも、ピアノ協奏曲、チェロソナタなども残していますが、どれも必ずピアノを使用します。
それなのに、ここまで他を追随することなく、独自性を持った作曲家は他にいません。
そんなショパンは何を聴き、何を感じていたのでしょうか…
少し違う視点から見てみるだけで、ショパンの曲がまた違った風に聴こえてきますので、ここで紹介した音楽も機会があったら、ぜひ聴いてみてくださいね。
- ショパンはどんな人だったのか?
- どんな世の中で暮らしていたか?
- どのように名曲が誕生したのか?
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