読んで面白かったクラシックの本 3選

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クラシック音楽にまつわる本は、知識を深めるだけでなく、作曲家や時代背景、音楽の楽しみ方まで多岐にわたる魅力を教えてくれます。

今回は、最近読んだ本で面白かったクラシックの本を3冊ご紹介します。

それぞれが独自の視点やエピソードを通じて、作曲家の素顔や音楽の背景を楽しめる内容です。

クラシック初心者の方はもちろん、ちょっとしたマニアな方でも、新しい発見を得られる本だと思います。

ぜひ次に読む本の参考にしてみてください!

もくじ

ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく

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目次(タップで開く)

序曲 発覚
第一幕 現実
第一場 世界のどこにでもある片田舎
第二場 会議は踊る、されど捕まる
第三場 虫けらはフロイデを歌えるか
第四場 盗人疑惑をかけられて
第五場 鳴りやまぬ喝采
間奏曲 そして本当に盗人になった
バックステージⅠ二百年前のSNS──会話帳からみえる日常生活──
第二幕 噓
第一場 騙かたるに堕ちる
第二場 プロデューサーズ・バトル
第三場 噓vs噓の抗争
第四場 最後の刺客
バックステージⅡメイキング・オブ・『ベートーヴェン捏造』──現実と噓のオセロ・ゲーム──
終曲 未来
単行本版 あとがき
文庫版 あとがき
解説 栗原康
関連年表

「運命はこのようにして扉を叩くのだ!」

上記はベートーヴェンの交響曲第5番のジャジャジャジャーンについての有名なエピソードです。

ベートーヴェンがそのように語ったという話から、この交響曲の俗称が『運命』とさえ呼ばれています。

ところが、このエピソードを伝記に記したベートーヴェンの秘書シンドラーは、大嘘つき者だった…!

ベートーヴェンが周りの人とコミュニケーションを図るのに使用していた「会話帳」を、ベートーヴェンの死後に改ざん、さらには会話帳の一部を勝手に破棄していたシンドラー。

そんなシンドラーとはどういう人物なのか、なぜ、どのように改ざんするに至ったのかについて、その真相に迫った本です。

シンドラーがかの有名な『交響曲第九番』の初演のために、会場や日取り、チケット料金の調整等々、秘書として奮闘した話は第九の裏話としてとても興味深く、しかしどうやら彼はベートーヴェンに嫌われていたようで、シンドラーのことを「押しつけがましい盲腸野郎」などと書きなぐった手紙まで残っているなんて話はおもわず笑ってしまいます。

さらにベートーヴェンの死後、シンドラーを初めとしたベートーヴェン周辺の人物たちが、ベートーヴェンの伝記を出版していく様子も生々しく描かれていて、一気に読み進めてしまいました。

音楽史に大スキャンダルを巻き起こした秘書シンドラーを中心に書かれた本ですが、ベートーヴェンとその周辺の人たちについての記述も多く、ベートーヴェンファンには是非読んでほしい一冊です。

この書籍には2018年10月出版の「単行本」と、2023年11月に出版の「文庫」がありますが、後者のほうは文庫化するにあたって、2018年当時より古びてきたワードを書き改めたり、『著書の至らなさによる間違いや説明が不十分な箇所も書き改め』ているそうです。(『』内は本書より引用)

このブログを書いている私は電子書籍で購入しましたが、電子書籍には「単行本版 あとがき」と「文庫版 あとがき」の両方が載っていたのが良かったです。

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歴代作曲家ギャラ比べ -ビジネスでたどる西洋音楽史

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目次(タップで開く)

-ドイツの音楽職人 バッハ × イギリスの成功者 ヘンデル
-ハンガリー貴族に仕えた ハイドン × スペイン皇太子に仕えた ボッケリーニ
-気鋭のフリーランス作曲家 モーツァルト × ウィーン楽壇を上り詰めた サリエリ
-ベートーヴェンと音楽家を支えたベンチャー企業
-貧しき薄命の歌曲王 シューベルト × 早期リタイアしたオペラ王 ロッシーニ
-文筆業との二刀流 シューマン × 指揮者としても有能だった メンデルスゾーン
-サロンでもてはやされた ショパン × 劇場のスーパースター リスト
-浪費家なドイツ楽劇王 ワーグナー × 篤志家のイタリア歌劇王 ヴェルディ
-ドイツ音楽の継承者 ブラームス × 世界のワルツ王 ヨハン・シュトラウス2世
-オペラ成功を夢見た ビゼー × パリ楽壇の長老 サン=サーンス
-祖国の発展に尽くした スメタナ × 国際的名声を獲得した ドヴォルザーク
-寛大すぎるパトロンに支えられた チャイコフスキー × 兼業作曲家集団 ロシア5人組
-安定を好んだノルウェーの傑士 グリーグ × フィンランド救国の借金王 シベリウス
-指揮で生計を立てた マーラー × 指揮でも作曲でも成功した リヒャルト・シュトラウス
-型破りな音響芸術家 ドビュッシー × 几帳面な音色職人 ラヴェル
-イギリス楽壇の重鎮 エルガー × インテリ民謡収集家 ヴォーン・ウィリアムズ
-ロシア革命前に早逝した スクリャービン × アメリカに亡命して大成功 ラフマニノフ
-民謡集めが曲作りの源泉 バルトーク × 新しい音楽論を追求した シェーンベルク
-祖国に戻って地位を確立 プロコフィエフ × 若くして国外で大成功 ストラヴィンスキー

有名な作曲家たちのお金事情に迫った一冊。

どの曲を出版していくらもらったとか、レッスン代はいくらだったとか、どの職について年俸いくらだったとか。

どのようにお金を稼げるかは、その時の社会の状況や、当時その作曲家がどれくらいの評価をされていたかにもよるので、意外とお金に関すること以外の情報も豊富です。

また、作曲家たちが、稼いだお金をどんな風に使っていたかも書かれているので、お金を通して作曲家たちの性格を垣間見れるのも面白いポイント。

実際のところ、お金に関する記述は他の音楽書でもありますが、この本のユニークポイントは、2019年基準の現代日本円に換算して記載されていることです。(2020年出版なので、2019年が基準になっていると思われる)

例えば、ベートーヴェンの第九初演の純利益が【420グルデンWW】と言われても分からないですよね。

この本では、それを現代の価値にするといくらか、そしてそれを日本円に換算するといくらか、を計算して記載してくれています。

昨今は物価が急激に値上がりして、そのうち2019年当時の価値観とは大きく乖離していくかもしれませんので、気になる方は早めに読まれることをおすすめします。

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大作曲家が語る 音楽の創造と霊感

目次(タップで開く)

序 傑作を生んだ時代の想像力(篠崎史紀)

ヨハネス・ブラームス

第1章 霊感の源泉たる神
第2章 奇跡を起こす人々
第3章 ヨアヒムと詩人テニスンの対話
第4章 創造力の源泉たる文学作品
第5章 芸術創造に不可欠な条件
第6章 対話をしめくくるブラームス
第7章 ヨアヒムの予言

リヒャルト・シュトラウス

第8章 芸術の都ワイマール
第9章 表出としての音楽
第10章 円熟期を迎えたシュトラウスの原点回帰

ジャコモ・プッチーニ

第11章 プッチーニの天才に引き寄せられる
第12章 創造の衝動と不可思議な感性
第13章 音楽創造に表れた国民性と伝統

エンゲルベルト・フンパーディンク

第14章 フンパーディンクが語るワーグナーの創造と霊感

マックス・ブルッフ

第15章 内なる力の顕在化

エドヴァルド・グリーグ

第16章 民族の魂の刻印
第17章 ノルウェー人の誇りと使命

この本は、よくある「作曲家の伝記」をまとめたものではありません。

ブラームスを始めとした作曲家たちに霊感(=インスピレーション)をテーマとして直接インタビューし、その対談の内容を記した本です。

インタビューをしたのは、アーサー・M・エーブルというアメリカの音楽評論家。(1868年生まれ)

本の中でも、ラフマニノフやスクリャービンと一緒にコンサートを聴きに行ったことがサラッと書かれていますが、多くの音楽家と交友があった人物だそうです。

ブラームスへのインタビューは、彼の友人でバイオリニストのヨアヒムが仲介してくれたそうなので、ブラームス、ヨアヒム、エーブルの3人での対談の形になっています。

ブラームスは、自分の死後50年間はこの対談の内容を出版しないようにと強く要求しており、その約束通り、彼の死から50年以上経った1955年に初めて出版されたそうです。

ブラームスは聖書に対して敬虔な信仰を持ち、それが作曲へもインスピレーションを与えているようなので、本の途中はまるで宗教書を読んでいるかの如くですが、ブラームス自身が語った話を直接的に読めるのはとても貴重な体験。

他にも、シュトラウス、プッチーニ、フンパーディンク(が語るワーグナー)、ブルッフ、グリーグとの対談についても書かれています。

この本の序文を、N響のコンマス、篠崎 史紀氏が書いているのもポイントです。

著:アーサー・M・エイブル, その他:序文 篠崎 史紀, 翻訳:吉田 幸弘

まとめ

クラシック音楽の世界は、読むことでさらに豊かに広がります。

今回ご紹介した3冊は、新しい視点で音楽を楽しむヒントを与えてくれるだけでなく、作曲家や作品への理解を深める手助けとなるはずです。

気になる本があれば、ぜひ手に取ってみてください。読むことで、きっとクラシック音楽がもっと身近で楽しいものになるでしょう!

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この記事を書いた人

夫と2人暮らしの30代主婦。
おいしいものが大好きな元KALDIスタッフ。
音楽も大好きでピアノとチェロを弾きます。
夫も音楽関係の人で夫婦でインドア派です。

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