夏になると、カルディでは沖縄の商品がちらほら出てきますね。その中で、今年はふと、「ちんびんの素」が目に入りました。
ちんびんとは、沖縄で昔から食べられている素朴なおやつで、小麦粉、黒糖、水を混ぜてフライパンで薄く焼き、適当にくるくる巻いたもの。シャレた感じでいうと、”沖縄風クレープ”です。
沖縄ではスーパーのお総菜売り場でも見かけるくらい、一般的なおやつ。
筆者は沖縄で生まれ育ったので、子供のころ、祖母の家に遊びに行くと、祖母がよく作ってくれていました。(現在は県外在住)
この記事では、そんな祖母とちんびんの思い出話と、カルディの「ちんびんの素」レビューをお届けします。
おばあちゃんと、ちんびん。
大正生まれの、今は亡き祖母。
KALDIのちんびんの素について書く前に、筆者のおばあちゃんとちんびんの、思い出話にお付き合いください。
おばあちゃん家の訪ね方
筆者のおばあちゃんの家の訪ね方は、インターホンもノックもせずに、いきなりドアを開けて、大きな声で「おばあちゃ~ん!!」。
なぜインターホンもノックもせずにいきなり入るかというと、①片耳が聞こえず、②聞こえるほうの耳も、齢のためかなり遠いから。
①については、沖縄戦経験者のおばあちゃん、爆風で片耳やられたとのことです。
つまりは、インターホンもノックも聞こえないため、全く意味ナシ。
なので、勝手にドアを開けて入る以外におばあちゃんに会える方法はありません。
(鍵かかってないけどいいのか?)
しかし耳の遠いおばあちゃん。数メートル手前で呼びかけても、視界に入らないと気づかないことも。
それで、勝手に上がり込み、おばあちゃんの肩をトントン。
その時のおばあちゃんの驚き様ったら!
驚かせてごめんね、でも他にどうすればいいの‥⁉と思いながら、笑顔で「おばあちゃん~」と手を振ると、すぐに嬉しそうな顔で迎えてくれるおばあちゃんでした。
ちんびんの作り方(おばあちゃん流)
無事におばあちゃんに認識してもらい、しばらく畳に座っていると、おばあちゃん、おもむろに立ち上がり、何かを作り始めます。
そう、それがちんびんです。
作り方は、適当なお椀に、小麦粉、黒糖、水を目分量で適当に入れ、指でぐるぐる。
(お箸使ってくれ~まじで。と心の中で叫ぶ)
そして、揚げ焼きするのか?というくらいたっぷり油を入れたフライパンに一気に流し込む。
(このフライパンもまた、何十年もの?というくらい年季がすごい)
フライパンを傾けたりして、薄く広げる。薄いので、あっという間に焼けます。
お皿に移してくるくるしたら出来上がり。
作り始めてから出来上がるまでが本当に早いです。
沖縄のおやつで有名なものとして、サーターアンダーギーもありますが、あちらは卵、小麦粉、砂糖(もしくは黒糖)でできた生地をたっぷりの油で揚げたお菓子。
お盆や正月などには、サーターアンダギーも作っていたおばあちゃんですが、突撃訪問で作ってくれるおやつは、いつでもちんびん。
これは筆者の勝手な想像ですが、昔の人は、サーターアンダギーよりも、ちんびんの方を日常的に食べていたのかもしれませんね。
だって揚げ物って、めんどくさいじゃないですか。笑
そして、卵は昔は貴重なもの。日々のおやつで食べれるものでしょうか?
サーターアンダギーが、結婚式などの祝いの場や、正月、お盆など特別な場面で登場してくるのも納得です。
さて、話は戻って、おばあちゃんのちんびん。
だいぶ適当に作ってる感じなのに、これが美味しいのです…!
甘さ加減も、生地のもちもち具合もちょうどいい。
ちんびんのレシピをおばあちゃんに聞いたことはありません。
だって、以前、母がサーターアンダギーの作り方をおばあちゃんに聞いたとき、「なんで、混ぜてから揚げるだけさ~」で終わらされてしまっていたから。笑
ちんびんの作り方を聞いたところで、おんなじだはずよ~。
ちんびんはポーポー
ここまで、ちんびん、ちんびん、とさんざん書いてきた筆者ですが、実は沖縄にいたときは、「ポーポー」と呼んでいました。
たぶん沖縄ではポーポーと呼ぶ人の方が多いはず。
イントネーションは、どちらのポーにも高低をつけず、同じ高さの音で「ポーポー」です。
ちんびんもポーポーも、クレープのように薄く焼いた生地をくるくるっと巻いたものですが、
ちんびんは黒糖を入れて甘くした生地で何もつけずそのままで食べ、
ポーポーは黒糖を入れずにつくった生地で、巻くときに油味噌を中に入れて巻きます。
見た目の違いは、ちんびんは黒っぽく、ポーポーは白です。
沖縄では黒糖入りの甘い方をよく食べ、そしてそれは「ポーポー」と親しまれています。
つまりポーポーとは、一般的にはちんびんのこと。
しかしややこしいので、この記事では引き続き、“ちんびん”で表記します!
カルディで購入した「ちんびんの素」
ここからはようやく、カルディで購入した「ちんびんの素」の話です。
カルディの「ちんびんの素」は、季節限定商品です。筆者が購入したのは7月。
税込356円でした。
原材料はこちら↓
このちんびんの素に、水200mlを加えるだけで作れます。
ちなみに、沖縄県民なら知らない人はいない、沖縄県民御用達の「沖縄製粉 ちんびんミックス」はこちら↓
上のリンク、楽天市場とYahoo!ショッピングは、これまた沖縄県民御用達スーパー「サンエー」のオンラインストアですよ♪
本土に住むと、「サンエー」という文字を見るだけでテンションが上がるものです。笑
話がそれてしまいましたが、カルディのちんびんの素と原材料を比べると、沖縄製粉の方にはもち粉が入っていますね。そして塩は入っていません。
懐かしい。今度実家に送ってもらおうかな。
カルディ「ちんびんの素」の作り方
ミックスを出してみるとこんな感じ。
あれ?黒糖入ってるの?と思いましたが、よく見てみると、大きな粒々がたくさん入っています。
黒糖って、大きな粒になっていることがありますもんね。
とりあえず、ちゃんと入っていて安心しました。
生地の作り方は、水を入れてぐるぐる混ぜるだけです。
フライパンに薄く広げます。
きれいにきれいに広げようとしなくても、てーげー(適当)で大丈夫。沖縄のおやつだから。笑 どちみち巻くし。
ちなみに、おばあちゃんが作っていたときは油たっぷりで焼いていたので、筆者も多めの油で焼きました。
表面が乾燥してきたらひっくり返します。
ひっくり返したら、10~20秒くらい、軽く焼けばOK。
1袋で、大体6枚くらい焼けます。
粗熱が取れたら、くるくる巻いて完成!
きっちり巻くよりも、ゆる~く巻く方が、より地元で食べられているものに近い形になりますよ♪
カルディのちんびん、どんな味?
出来立てホカホカを、手づかみでいただきます!
うん、ちゃんと黒糖の風味がして、生地もモチモチしてる~!
カルディの「ちんびんの素」は、製造しているのが大阪の会社だったので、正直沖縄で食べてたものとちょっと違うんだろうな~と思っていましたが、ちゃんと地元で食べていたものと同じ味がしました!
パッケージには、「お好みで生クリーム、果物、アイスクリームなどをトッピングしてお楽しみください」と記載されていましたが、沖縄で食べてたころに何かをトッピングして食べたことはありません。
なので今回もすべてそのままで食べました。
沖縄県民としての、変なプライドです。笑
でも、何もトッピングせずとも、しっかり甘くておいしいです♪
ちなみに、おばあちゃんが作ってくれたちんびんと比べると・・・おばあちゃん特製ちんびんの方が、砂糖は全部黒糖を使っていたからか、もっとコクがあったような気がします。でも随分前だから、だいぶ記憶が薄れてきているのだけれど。
≪おばあちゃんが作ってくれた≫という唯一無二のトッピングが効いてますね。
たかがちんびん、されどちんびん
コロナ禍で気軽に沖縄に帰れなくなり、久しぶりに食べたちんびん。
カルディで見かけて、なんとなく懐かしくなって買ってみたのですが、
作るところから食べるまで、亡きおばあちゃんとの思い出が詰まっていて、懐かしかったです。
”愛された”という記憶は、何にも代えられない、貴重な財産ですね。
でももっと、戦争の話とか、昔の暮らしとか、聞いておけば良かったな。
たかがちんびん、されどちんびん。
感謝と、後悔と。いろんな感情が渦巻く、思い出の味でした。